花組公演『CASANOVA』感想
ブログを!書いてる!暇がない!
感想を早く綴りたいのに(終演後語らないタイプの)友人と行くとそれが出来ないのが悔しい所ですね。
私は語りたいタイプなので終演後はTwitterフル稼働です。
先日会社の研修で関西に行っていました。東京で観ようと思っていた花組公演の日が休めなくなりチケットを譲ってしまったのでその分関西で見れば良いじゃん!と次の日の朝当日券に並び無事宝塚大劇場初観劇を果たしました。
オタクのフットワークの軽さって凄いなと改めて思いました。ついてきてくれた同期2人ありがとう。
と言うわけで花組観劇!しました!
一言で言いますと「生田先生(CASANOVA演出家)頑張って」って感じですね。
生田先生一本物デビュー作の割には面白かったけど、いつも面白い物作っているイメージだったのでちょっとあれ?と思う所もあったり。
主役の2人準主役に負けてないか?と言う感想が1番に思い浮かびました。
世紀のプレイボーイ、カサノヴァとヴェネツィア総督の娘、べアトリーチェ
異端審問官のコンデュルメルとその妻のコンデュルメル夫人
私はコンデュルメル夫妻の方が好きでした。カサノヴァ様もそれはそれは美しかったですけどね?
あと音楽。今回はドーヴ・アチアさんと言う1789でも楽曲を提供した方がまた作って下さった物だそうですけど、1789より盛り上がりに欠けるなーと。
全体的に優しいと言うか弱いというか。
一曲一曲(ベアトリーチェの自由に生きる!って曲とかコンデュルメル夫人の愛して欲しいって曲とか)は凄く良いんですけど1789で言うサ・イラ・モナムールや悲しみの報いみたいなわっとキャストの熱が客席にまで伝わるみたいな曲が無いのが少し残念でした。
伏線の回収が雑だったり終わりが雑だったり気になった所もあったけど、良かったです。
今回のCASANOVAで私が1番好きなのはコンデュルメル夫人。
男役の鳳月杏さん(愛称:ちなつ)が演じています。
黒魔術に傾倒している妖しい夫人ですが、実は夫の事を誰よりも愛していて、でも愛情表現がとても不器用な強くてどこか脆い少女の様な人でした。
夫の気を引くために嘗ての恋人カサノヴァを捕まえてと頼む。その代わり(?)に貴方の恋人ゾルチ夫人を人質にとる。
カサノヴァを諦めるかゾルチ夫人を捨てるか、そのどちらかの選択肢を迫る夫人に「カサノヴァを連れてきてゾルチ夫人を助ける」と言う新しい選択肢を選ぶ夫の言葉に、少し悲しそうな顔をしちゃう夫人が可愛い。
「昔は私を愛してくれていたのに、彼は私を捨てて貴女を愛するようになってしまった」とゾルチ夫人を責める時の歌が切ない…「誰か私を愛して」と歌うんですが、「誰か」は決まっているんですよね。
きっとカサノヴァもそれを知って夫人から離れたんだろうな。
その後に金曜日の猫ちゃん(僕の1人)のせいで自分の部屋に来てしまった、夫がベアトリーチェと結婚させようとしていた男を更に人質に取ります。
その男がゾルチ夫人と逃げ出した事を夫のせいだと思い込み喧嘩をする。
その時にヒートアップした夫に言われた「お前と結婚さえしなければ」の言葉に小さく「え…?」と返す夫人が切なくて切なくて……
権力を何よりも欲する夫の夢はヴェネツィア総督になる事。
「お前さえ居なければ、総督の娘のベアトリーチェと結婚出来て総督の座を手に入れられたのに」と言う夫の言わんとしていることを理解してしまった夫人は「私を愛して」をもう一度歌います。
ぎゅっと両手を握りながら歌う姿が、悲しいのに涙を流せない不器用な所が、凄く子供みたいだなと思いました。
愛しているから、貴方のどんな願いも叶えて来た。
だけど貴方は私を見てはくれない。
「私は居なくなればいいの?」
そう呟いた後、カサノヴァやゾルチ夫人に飲ませるはずだった人形になる薬を自ら飲み干して人形(仮死状態)になってしまう。
自分が居なくなればベアトリーチェと結婚して総督になれる、その願いを最後に叶えてあげたい、でも貴方を愛しているから側にいたいと言う小さな我儘がいじらしい。
人形になって愛しい人を見つめていたい、重いけど純粋な愛。
泣きたいのに泣けない強がりな所が、見ているこっちが辛くなってしまいました。
でもこの後、コンデュルメルは本当は夫人を愛している事に気付くんですよ尊い。
自分の企てがカサノヴァに暴かれてしまい絶望して居た所に、総督が人形になった夫人を連れて来ます。
そこで「ロザリア」と夫人のファーストネームを呼び駆け寄り抱き締めるコンデュルメルに叫び出す事だった。なんだかんだ言ってちゃんと夫人の事好きなんじゃんかもう〜〜〜尊い〜〜〜
どうでも良いはずなのに、邪魔だと思ってたはずなのに、黒魔術に傾倒してしまった夫人を嫌悪していたはずなのに、彼女を助けてくれって言うんですよ…それはもう必死に……つらい……
カサノヴァの調合した(この人何者なんだろう)解毒剤により生き返る夫人に「すまなかった」と正面から抱き締めるんですけど、その時の夫人の顔が凄く困惑してて。
邪魔だから消えたはずなのに、どうして私は生きているのか。
どうして今この人に抱き締められているのか。
困惑しているのが目で伝わる。ちなつ凄い。
この2人はこの後夫婦としてまた生きる道を選びます。また昔みたいに寄り添える日が来たらいいなって思うので生田先生スピンオフ作って……kingdomみたいに…って思ったらちなつ組替えだ……つらい……
何が凄いって「孤独」「悲しい」とか言わなくてもそれを全て表情や声のトーンで伝えてしまうちなつがとんでもなく凄いと言う事ですね。
そういう視点ではとても面白いと思える舞台でした。
千秋楽ライビュが楽しみだ!
あ、分かったこれ視点が変わったスカーレットピンパーネルだ。